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# 13日目 仕上げ@わたしの靴をつくる

今日で靴が完成する!そう思うと嬉しい。

いつも以上に張り切って教室へ向かう。

前回圧着させたソールを包丁で削ぎ、グラインダーで削って整える。

革を削ってしまわないように慎重に慎重に…。

いつものごとく、慎重になりすぎて進まない。

ここで傷になってしまったらショックで立ち直れない…そういった意味では最後の関門というのにふさわしいと思う。

グラインダーを使うのが久しぶりで、当たりが悪く「ガガガ!」と音がなる度にビクッとした。

ほんの少し傷がついたものの、自分としては満足の出来となった。

次にインソールを貼る。

フィッティングシューズを作った際に調節をした位置にインソールにパッドをのりで貼りつける。

この1僂砲睨たないパットの厚さで靴の履き心地や足の負担を軽減してくれるし、

間違えば負担になってしまうのだから、足はとっても繊細な箇所なのだと感じる。

以前にパットの場所の確認をしたときに自分のことなのに、

これがなかなかに難しいと感じた。

これまで靴の履き心地は、足の裏よりも足先の窮屈さのほうが先に思い浮かぶことだったと思う。

それだけ自分はこれまで足や靴のトラブルがなかったということだろうけど、

私のような人にもインソールを変えれば、もっと履き心地よくなるかもよ!ということは知ってもらいたいと思う。

インソールを糊で貼り、完成!!

靴づくり教室で初となるゴム使用の靴。いざ!!!

履いてみると…

ゴムがベロの上にくる予定だったが、ベロがしっかり外に出せなくて脱ぎ履きしにくい。

急遽、ゴムをベロの下にすると、ゴムが足に直接当たるも気になることもなく、

見た目もスッキリ。


ただ、計算外のことが起きたため、ベロがちょっと長すぎ!あちゃー

まあそれもご愛嬌…。

歩き回ってみると、ゴムで足がしっかりと固定され脱げることがない。

紐でなくゴムで足を固定するのに、ゴムがキツすぎないか?それともゆるくはないか?

それは、完成して履いてみないとなんとも言えない問題だったので、ほっとした。

サイズ感にも問題なく、無事に完成となった。

先生に記念撮影をしてもらう。

今日は、履いて帰れるということで靴が完成したら合わせたかったコーディネイトで来た。

そのくらい楽しみにしていた。

完成して嬉しい気持ちと、教室で使っていた道具箱の名前を外したりしていると

毎月2回位の頻度で通っていたのにもう終わっちゃうんだな…

なんて、寂しい気持ちもあって、妙にしんみり…。

でも、そんな寂しい気持ちもすぐに忘れて帰りに寄ったお店で店員さんに自分で作った靴を自慢しながらうきうきと帰ったのであった。


 

| comments(0) | - | 14:19 | category: 「わたしの靴をつくる」ルポ |
# 12日目 手縫い@わたしの靴をつくる

10月まで汗ばむような気候だったのに、

11月に入って風が冷たく感じるようになった。

前回の教室では冷房が掛かっていたような気がするけど、

今日は煖房が掛かっている。

そんな季節の話をしていると、「手縫いしてれば暑くなるから大丈夫」と室根先生。

手縫いを経験済みの生徒さんも「暑くなりますよ〜」と。

その会話を聞いてちょっとドキドキしながら、前回吊りこみをした釘を抜いていく。

靴づくり教室に入って最初の回で、靴底を手縫いで仕上げるか、

接着剤で仕上げるかを選択した。

そのときは、「せっかくやるからには、手縫いでしょ!」ということで選択したのだった。

そして、始まった手縫いは本当に暑くなった…!

子ども用くらいの小さい椅子に腰かけて、膝の上で作業をする。

先生が片足を説明しながら縫うところ見て、私も後に続いて縫っていく。

前回穴を開けて置いた靴底と革を縫い合わせるために、

革に千枚通しでぐりぐりっと穴を開けて針で糸を通す。

縫っていく作業は、一見単純なものだけどかなり力がいる。

糸を靴底の穴に通すたびに、縫い目をピンとさせるように両手を使って糸を引っ張る。

両手には、端切れで手の大きさに合わせて作ったグローブをはめている。

先生のグローブは革が馴染んで使いやすそうだ。

作業をしていくうちに、グローブの手のひらを覆う部分が

糸の擦れで無数に傷がついていくから、グローブが必需品だということがわかる。

隙間が空かないように、2本の糸を結ぶように縫うのだが、

1回じゃ覚えられずに、何度も教えてもらう。

縫う順序を確認しながらそちらに集中すると、

しっかり力を入れることがおろそかになってしまいそうで、ゆっくりゆっくり針を進めた。

大きな窓を背に作業をしていて、最初は寒気を感じていたのにいつの間にか忘れていた。

先生に途中経過を見てもらうと、「糸が浮いているから、ほどこうか…」と。

ガーン!

しっかり糸を引っ張れておらず半分以上を泣く泣く解き、帰りのバスの時間が迫っていたのでソールを圧着するところまで先生に手伝って頂くという…。とほほ。

こうして、なんとかかんとか手縫いが終わり、いよいよ次回で完成予定!というところまで漕ぎつけた。

| comments(0) | - | 14:05 | category: 「わたしの靴をつくる」ルポ |
# 11日目 つりこみ◆わたしの靴をつくる

1028

いつもは土日に通っていた教室。

今回は初めて火曜日に来た。

教室に新しい生徒さんが2人やってきた。

お友達同士らしく、雑誌などを見ながらデザインを考えていた。

「これがいい!」と決めたように見えて、「でもやっぱりこっちかも…」と悩んでいた。

それを横目で見ながら準備をしていたら、

「すごい!」と私の靴を見て生徒さんが言った。

この「すごい!」には、「自分でここまで作れるなんてすごい!」の意味だと思う。

これまで、自分以降に教室に入ってきた生徒さんと会ったことがなかったので、初めて言われた言葉だった。

ちょっと先輩気分。

足先に芯を入れる。

「芯」と言うと、思い浮かぶのはきっと、すごく硬いものだと思っていた。

けれど、渡されたのは布のようなものだった。

まずは、先生が一足お手本として作業をする。

布のようなものをシンナーに濡らして、足先に貼り、少し乾いたら餃子のように指で吊りこむ。

餃子が作れるなら誰でもできそうな気がする。

でも、気がするだけで実際は変に空気が入ってデコボコになりそうになる。

難しい…。

次に踵に芯を入れる。

自分の足計測を見ながら、くるぶしの高さに合わせて芯を調整する。

作業しながら、この素材が芯ということにまだ少し不思議だった。

確かに、熱を加えてから冷めると硬くはなる。

完成したときに、このパーツが靴を形作るとは思えないな〜と考えながらハンマーを叩いてていた。

午後から来た生徒さんも「すごい!」と言って見てくれた。

生徒さんはフィッティングシューズを作り終えて、本番の靴を作り始めたばかりだった。

今日は、先輩の日だ。

靴底のまわりをぐるっと一周ヌキで穴を開ける。

この穴が、手縫いするときに糸を通すところになる。

ヌキをハンマーで叩いた力で穴を開けるから、けっこう音が響く。

2足分もあると、一体、何個空けるのか数えたくないくらいに穴を開ける。

先生は、このアトリエを構える前は、自宅のアパートで靴を作っていたらしい。

きっと音が気になるから作業する時間帯が限られていただろと思う。

まさか隣の部屋の人が、靴作ってるとは思わないだろうから、びっくりするだろうな。

革を吊りこむ。

先生が1足お手本で作業をし、もう1足を自分で吊りこんでいく。

革を吊りこむには、革を吊りこむ「ワニ」の他に、釘とハンマーも使う。

靴づくり教室に入ったとき、釘とハンマーを使うことに驚いた。

こうして、作業しながらもやっぱりミスマッチだよな…と思う。

ミスマッチというか、予想外なことだった。

そういうことが、靴づくり以外にこれまでにあったか考えてみると1つあった。

煎茶は、熱湯を入れると苦みが出るのでタブーとされているが、

茶職人や茶を扱う商人が、お茶の良し悪しを見極める際は、

熱湯を注いで最悪の状態にして行う方法がある。

つまり、すっごく苦いものを飲んで、その中から良いところを見つける。

美味しいとは思えないものだから、訓練して会得するしかないそうだ。

これも驚いたこと。


作業の話に戻すと、

今日吊りこみを終わらせて何日かそのまま置いて革をなじませておきたい。

例のごとくワニの使い方もぎこちなく、小さな釘を打つのも難しい。

先生のお手本を見ていると、あんなに簡単そうに見えるのに…。

時間が掛かったけれど、なんとか目標までは出来た。

秋に履きたいと思って黒の革を選んだ。

もうすぐ、もうすぐと完成が楽しみで仕方がない。



「わたしの靴をつくる」ルポのページ
http://cokokorone.jp/shoesmaking/watashinokutsuwotsukuru.html
 

| comments(0) | - | 17:30 | category: 「わたしの靴をつくる」ルポ |
# 9・10日目 つりこみ わたしの靴をつくる

10月25日・26日

 

私の作っている靴は、紐の代わりにゴムを内側に縫って、安定した足運びと、


脱ぎ履きのしやすさを実現したいと思っている。

 

室根先生は、靴の制作技術を学んだ学校でゴム付きの靴は作ったことはあるものの、


現在は製品化していないので、ゴムを仕入れたのも初めてだと言っていた。

 

ゴムを縫い付ける作業は手探りだった。


ゴムがキツすぎれば靴に足が入らないし、ゆるすぎては靴が脱げてしまう。


ゴムは、履き続ければいつかはゆるくなるものだから、


最初から取り替えることを想定して作ってきたつもりではいたから、


万が一失敗してもなんとかなる。


 

何度も調整しながらゴムを仮留めして、足を入れる、歩いてみる。


この確認は靴底がない↓の状態で行うので、その姿は滑稽である。

 

 

先生も笑ってるし、自分でもおかしいと思う…。


靴底がない状態では履いた感覚はもちろんわからない。


とりあえず、足が靴に入れられるほどの加減で自分の感覚を信じてゴムを縫い付け、


ゴムが足に当たらないようにするためにベロを縫い付けた。

 

 

こればかりは、出来上がってから履いてみないと正解がわからない。

 

次に、内側の青い革を釣り込む。


2足あるうちの1足は先生がお手本を見せながら作業をし、


もう1足を自分で作業をする。

 

 

「ワニ」を使って革を挟んで、てこの原理でグッと伸ばす。


先生の作業を見ていると、とても簡単そうに見える。


けれど、そうじゃないんだということもフィッティングシューズを作った自分は知っている。


デコボコがないようにしっかりと革を伸ばすことがとても難しいし、


力任せにやればいいというものではない。


いつもワニは、使い方がわからなくなってしまって難しい道具。


私はいつも単純明快な道具しか使っていなくて頭もそんなにつかってないんだなと感じた。


けれど、料理をしない人の目の前にピーラーを出されたら、


難しいと感じるかもしれないし、身近にあるかないかの違いだけなのかもしれない。


教室に来ると、普段考えないようなことを考える。


 

 

吊りこみにはとても時間が掛かってしまったが、


次回も靴に「芯」を入れてから、表の革の吊りこみをする。


ここからが、がんばりどころ。



「わたしの靴をつくる」ルポのページ
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| comments(0) | - | 20:00 | category: 「わたしの靴をつくる」ルポ |
# 8日目 裁断〜ミシンがけ@わたしの靴をつくる

10月19日(8日目)
 

前回の教室から2ヶ月近く経ってしまった。

と、いうのもこの1週間前に開催されたARTS&CRAFT静岡の企画担当だったため9月中は毎週打ち合わせがあって教室へ行けずにいた。

前回完成したフィッテングシューズは持って帰って部屋に置いておいた。自分の部屋がアトリエショップに入った時と同じ香りがするようになって、この香りの正体は革だったのだと今更ながらに気がついた。

「そろそろ教室へ行きたい〜」

「早く靴を完成させたい〜」

「包丁を持って裁断したい〜」(!)

などと毎日、部屋にあるフィッテングシューズが視界に入ると、教室へ行きたいのに行けない焦る気持ちがあった。


前回は本番用の外側の革を裁断したので、内側の革を裁断。

革を裁断するとき、とにかく丁寧に!そう念じながら作業する。

息も止まっている気がする。

久しぶりの裁断だったけど、するっと上手く切れるからずいぶん上達したんだなと思っていたけれど、内側は豚の革で柔らかいから切りやすいのだと思い出す。

フィッテングシューズを作るときに一度やった作業だけど、違うところは両足作るときは、右足なのか左足なのかわかるように印をつけること。


裁断をして、あんまり得意でない革すき機も攻略して、伸び止めテープを貼って、ミシンを掛けるために革に印を付けて、糊で仮留めをする。

いよいよミシン。


2ヶ月ぶりのミシンのペダルの踏み加減や針の進む感覚を思い出しながら練習。

ミシンの目は靴の印象にもなるから何度も何度も練習する。

ミシンを掛けるときは、目は革と針の動きを見て、手で革をコントロールしているものの、8割の神経は右足へ。

ちょっと踏込む加減を間違えると、ダダダ!と針が進んでしまう。

そのようなことはあってはならない本番のミシン掛け。

まずは、外側の黒の革を、次に内側の青の革をそれぞれ縫い合わせて履ける形にする。

それから黒と青を2枚一緒に縫い合わせる。

両足分なので同じ作業を計6回行う。

1枚縫い終わって「ふう」と一息ついて、また1枚に神経集中させて一息ついて、でもまだまだ縫うものは残っていて…。

休む間もなくミシンを掛けるも、慣れてくれば結構楽しいものである。

そもそも私はミシンをやりたいと理由もあって教室に通うことにしたのだから。


慎重に作業したおかげでミシンは線に沿って真っ直ぐと縫う事ができたのでほっとした。

これでミシンの作業が終わってしまって残念な気持ちもある。

今日は作業工程が少ないものの、実はここまでで8時間近く掛かっている。

「1日掛かっちゃったね。手を止めずに作業していたのに」と先生。

実は、11月くらいには履きたいな…とここに来て完成目標を立てた。



「わたしの靴をつくる」ルポ
http://cokokorone.jp/shoesmaking/watashinokutsuwotsukuru.html


 

| comments(0) | - | 19:35 | category: 「わたしの靴をつくる」ルポ |
# 7日目 フィッティングチェック@わたしの靴をつくる

8月31日(7日目)


今日は、いよいよフィティングできるので嬉しい。

これまで作業をしながらも、次にどう繋がるのかわからなかったし、『展開』などの素人には難しいことをしているときは、ほんとうに靴が出来るのだろうか…と思ったものだった。



前回、のりでくっつけたソールを包丁で大まかにカットする。

仕上げにグラインダーで整える。ソールだけをやすりに当てたいのに、革まで当たって傷がついてしまった。これ、本番でやってしまったら落ち込むな…。

次に、インソールにパットを入れる。

インソールのパットは、土踏まずのところに入れるもので、偏平足の人には入れなかったりする。

足の骨のアーチを支えるよう、少し入れてクッションにする。




1回目に写したフットプリントを見ながら、室根先生の解説を聞く。フットプリントとインソールに線を引きパットを入れる位置を決める。インソールにパットをテープで仮留めしてフィッティングシューズに入れる。いよいよフィッティング。




フィッティングシューズに足を入れる。

……靴だ。

靴になっている!おおおお!すごい!

感激して、ぐるぐると歩き回っていると、「パットの位置は、どうですか?」と先生。

そうだ、パットの確認だ。

足裏に意識を集中して歩いてみると、インソールが「ここにいるよ!」と強く主張しているかのよう。とても違和感がある。

パットを少し前へずらしてみる。歩き回る。もう、少し前へずらす。歩き回る。

「ずいぶん前にしましたね」と先生。

うーむ。だんだんわからなくなってきた。

違和感がある気がするのだけど、これって本当に悪い感触なのだろうか?と不安になった。

これは、例えるならば自分が暑いと感じていながら、室温計が自分の思っているよりも低い気温を示しているから窓を開けないというような状況に似ている。

判断基準が自分ではなくて、誰か、何か任せにすることに慣れているとだんだん自分の感じていることが正しいのかわからなくなるのかもしれない。(そして、そもそも自分が感じることに正しい、正しくないということはない)

フィッティングしながらそんなことを考えていた。

でも、自分の違和感を、違和感として、パットは当初より思いきり前にし、親指に当たる部分は少し削ってもらうことにした。


 

お昼休憩を挟んで、午後はデザインの修正から始めた。

立体になった靴を見て、ベロを短くしたくなったので型紙を修正した。

以前に、靴をデザインからオーダーしたときもフィッティングシューズを作ってもらい、確認をした。そのときは、特にデザインの修正はなかったが、自分で作ってみると、平面から立体になるのはベロひとつをとっても見え方が違うものなのだとわかる。フィッティングシューズは、このときだけにしか使うことがない。勿体ないような気もするけれど、1発で履き心地もデザインも完璧な靴を作るにはなかなか難しそうだ。




いよいよ、本番の靴を作る。

これまでは、フィッティングシューズ用に片足しか作らなかったが、両足分作っていく。

型紙に合わせて銀ペンで革をなぞり、包丁で裁断する。

目の前に置いたフィッティングシューズを見て、パーツを裁断していくとイメージが沸く。

本番と思うと慎重になるし、静かになる。

先生は、注文を受けた靴を作っている。

ミシンの前に座り、ダダダダダダダダダダッとものすごいスピードで縫い始めた。

これまでこの工房内で聞いたミシンの音で一番早かった。

あんなに扱いが難しいものを、ここまで使いこなすのかと、どう考えても当たり前な感想を持った。

さすが!と思いながら、ここで話しかけると集中できなくなるので作業に戻る。

今日は、靴の外側の黒い革を裁断して終了。

フィッティングシューズは、持って帰っていいそうなのでそうする。

早速、今から会う東京の知人に見せようと思う。

これを私が作ったなんて、他の人は思えないだろうな、なんて少し優越感。

かわいいこの子は、クロワッサンと名づける。

そう、黒(クロ)いからだ。

 

| comments(0) | - | 12:44 | category: 「わたしの靴をつくる」ルポ |
# 6日目 つりこみ@わたしの靴をつくる

8月24日(6日目)


私が、足踏みミシンを使ってみたいと思ったのは、NHKの朝の連続テレビ小説『カーネーション』がきっかけだった。このドラマは、ファッションデザイナーの『コシノ三姉妹』を育て上げ、自らもファッション界で活躍した母親の『小篠綾子』の生涯をモチーフにした物語だ。ドラマに登場する大正時代ミシンは、足踏みの人力で動かすものだった。

リズムよく踏みながら、ダダダダダッと縫っていく様子がただただ面白そうに見えた。

現在でも、ミシンを使うことを「ミシンを踏む」という。それは、書くことを中断する「筆を置く」という言葉と同じように、風情があって好きな言葉であった。

文字通り、実際にミシンを踏んでみたかった。それが叶うことが嬉しかった。

まずは、ベロからミシンで縫い始める。

昨日の特訓を思い出しながら、焦らずゆっくりと返し縫いをしてから針を進めていく。



この電動ミシンは、踏み込みの加減が難しい。うっかり、少しでも強く踏み込んでしまうと、とたんにダダダッと針が進んでしまい、コントロールが出来ずに縫い目が曲がってしまう。だから、ミシンを踏み込むのは1回ずつ、ゆっくりと。

後足部と前足部をのりで貼り合せて、ミシンで縫い合わせる。

ゆっくり、ゆっくり…。

カタタン、カタタン…。

慎重に縫っているからか、割と曲がらずに縫えていると思う。自分で言うのもなんだが、結構上手くないかな?と、少し良い気になっていたら進みすぎて、針が革を通り越してしまった。返し縫が出来ない…。しょうがないので、ライターで糸をあぶり、よしとした。「本番では返し縫いをしてください」と室根先生。はい、気をつけます。

これでずいぶん靴らしくなったような気もするし、黒いからカラスみたいだなとも思う。

次に、ゴムを縫い付ける。

ゴムを縫い付ける工程を先生と確認したはずが、わかっていなかったようで間違えた。確認の意味で、正しいところを再度縫い、表側が大変格好悪いことになってしまった。本番でこのようなことがないように気をつけなければ…。

ベロを、後足部にのりで貼り合わせてミシンを掛ける。パーツが重なるぶ厚いところは、針が進まない。重くなったレバーを手で回しながら進ませる。このレバーの重みは昨日、針を折ったことが思い出されて冷や冷やする。




縫い終わったら、靴型にはめてみる。すると、一気に靴に見える!すごい!靴っぽいぞ!

「午後の部でフィッティングシューズを完成させましょう」と先生。

ようやく先が見えてきて気合が入る。

ここでお昼休憩をとって続きを進める。




靴型に中底と縫い上げた革を釘で固定する。中底にのりを塗り、つり込み作業をしていく。

ワニの横顔に似ている『ワニ』と呼ばれる道具を使う。革をパクッと捕らえ、ワニの顎を使ってテコの原理を利用しながら餃子の皮を包むようにつり込んでいく。

ワニの使い方がなかなかむずかしい。口を閉じるのはぎゅっと掴めばいいけれど、開くときは下の持ち手だけを緩める。以前にもこのような道具を使ったけれど、鋏のように開閉が単純なものならいいのにと思う。

靴のサイドもピシッと革が張るようにつり込んでいるつもりでも緩んでいる気がする。本番でもつり込みはうまく出来るのだろうか…せっかく入った気合までもが緩みそうになる。先生に見てもらいながら、つり込むのに1時間半程掛かった。




今日はフィッティングシューズを完成させる!と、先生と共に目標を掲げていたので、ここから足早に作業を進める。

包丁で、余分なつり込みしろを切りとる。

グラインダーで、靴底を平らにする。

靴底が平らになったら、ソールにのりを貼りって圧着する。

ソールの圧着には圧着機を使う。靴型をセットしてスイッチを入れるとソールを包み込むように圧がかかる。私の靴が押さえ込まれているように見えて少しどきどきした。

今日はここまで。

次回までにのりがしっかりくっついているので、いよいよフィッティングが出来る。

それにしても、間違えなかったらもっとかっこいいのに…と指で間違えた縫い目を隠して見る。でも、ようやく“靴”になった。ここまでくるとフィッティングシューズであっても愛着が沸いてくるものだ。

靴に名前をつけよう。

なにがいいかな。

 

| comments(0) | - | 12:28 | category: 「わたしの靴をつくる」ルポ |
# 5日目 フィッティングシューズ@わたしの靴をつくる

8月22日(5日目)


靴づくり教室に通いはじめて5日目。

だんだん電車の乗り換えにも慣れてきて、電車のどのあたりに乗れば改札口へのエスカレーターに近いのかがわかってきた。

Co. & Kokoroneさんの工房が入っているビルに着くと、工事中だったビルの隣の敷地が駐車場になっていた。

前回靴作り教室に行った際は、何の工事なのかわからないと室根先生は言っていたが、駐車場でよかったと思った。

Co. & Kokoroneさんは2ヶ月に1度『足と靴の日』というイベントを開催しているから駐車場があれば便利だし、ビルなどが建ったら工房スペースの窓からは、スカイツリーと東京タワーが見られなくなってしまうから。



教室は、前回の作業の続きから始める。

厚紙で作った型紙をカッターできれいにカットする。

この型紙をもとに革を切るので、革を吊りこむところなどの見えないところは良いとしても、靴の形になったときに、見えるところは滑らかにカットしないと格好が悪くなる。

こうやって見ると足の甲にあたる前足部のパーツは、大きいと思った。

足を包み込むには、自分が思っている以上に革の面積が必要なのだな。

仮靴のための革を裁断する。

仮靴は、『フィッティングシューズ』とも言い、履き心地やデザインの確認のために、作る靴のこと。

本番と同じ革を使い、靴底はソールのみで、片足分しか作らない。※1

革は、牛のショルダー部を使う。

皺が出来ている方向に伸びるので、皺に垂直になるように、無駄なく裁断する事が鉄則。

大きな靴の工場での裁断作業は、コストを考えて無駄が出ないように計算する重要な役割となるので、一番の高給取りだとか。

教室では、無駄が出ないように先生が革に型紙を合わせてから生徒が裁断をする。

無駄をなくすという意味は、ただコストを考えているだけではないと思う。

たぶんこれは、「野菜を無駄なく食べきろう」ということと同じじゃないだろうか。

Co. & Kokoroneさんは、靴を製作するときに余ってしまう革の端切れを無償で提供していることを自身のサイトで呼びかけている。

革以外の素材を取り扱うものづくりの作家さんでも、端切れの有効活用というのは頭を悩ませることのようだとARTS&CRAFT静岡のスタッフをしていて感じている。



次に『銀ペン』で型紙通りに印をつけて、包丁で裁断していく。

切った線がそのまま靴になるのだから、とくに曲線のパーツは、どこから刃を入れたらスムーズに刃を進められるのかをよく考えてから始める。

裁断するときは、何度もなぞるように切るよりも刃を入れるのは一度の方が良い。

ぐっと力を入れているつもりでも、なかなか刃が革を裂けない。

包丁を研いでもらっても、素人には革が硬いのか、上手くいかない。

じっと私の裁断の様子を見ていたらしい先生が突然、「わかった!」と言った。

私はびっくりして先生を見たら、とても嬉しそうな顔をしていた。

私は、包丁を握った手首の力だけで刃を動かしていたが、包丁を持ったままの状態で腕を全体的に自分の方へ引くことが正しいと教わった。

教わった通りにやってみると、さっきよりも革が切れるようになった。

シンプルな道具でも、正しい方法で使わなければ発揮できないのだとわかった。

裁断をして、銀ペンの跡を消しゴムで消す。

靴に縫い付けるゴムをサイズに合わせてカットする。

ここで、お昼休憩をする。

午後になると、一組のご夫婦がショップスペースを訪ねてきて、香子さんが接客をする。

冷えとり靴について聞いているようだった。

ショップスペースと作業スペースに居ると、隔てている棚の隙間からお互いが見える。

ショップに訪れた人が、靴を作っている様子を覗けるのはいいことだと思った。

何にでも言えることだが、人の手で作っているということを、見るのと聞くのとではモノの捉え方が変わると思うから。



次に、『CMC』で切り口のデコボコを整える。

CMCというのは、見た目は透明なゼリーみたいだ。

指で革に塗り、乾いてから布でこするとガサガサしていた革の裏側がするっと整えられる不思議なもの。



次に『革すき機』で、重ねて縫い合わせる革の箇所を薄くすく。

革すき機は、針のないミシンのような形に見える。

スイッチを入れて、足でペダルを踏んで革を機械の口に入れると回転している刃の流れに乗って右側へと誘導される。

このとき、流れに任せて革から手を離してしまうと曲がってしまうし、手を持ち替えずにいると手をけがする恐れがある。

いざ機械を動かすと予想よりも革が速く流れて途端に混乱する。

あせあせしながら、あっという間に終わってこれでよかったのかよくわからない。

確かに、革は薄くなっているが…。

本番は、大丈夫だろうか…。

次に、ミシンで縫い合わせる箇所に糊を塗って貼り合わせる。

仮留めのようなものだろう。

ミシンの針が落ちる道筋を銀ペンで点々と印をつける。

そして、いよいよミシン!…の前に、インソールを作る。

このインソールの素材の肌触りが、スポンジよりもキメが細やかで気持ちがいい。

これは、一体なんなのかと先生に尋ねると、パンフレットを見せてくれた。

この商品は、もともと靴のインソールに使うものとして作っている分けではなく、精密機械の中にクッションとして入れるといった使われ方もあるそう。

教室で作っている靴に使われる部品は、靴専門の部品ではないものがある。

靴が世の中に溢れているにも関わらず、それでも靴専用の部品以外で模索しながら新しい可能性を探すことは、靴について無知な私には不思議なことだった。

そういったことは、靴以外のモノも行われているだろう。

世の中の当たり前とされていることを様々な角度から観察したり、疑ったりして、初めて新たな手段となるものを探すことが出来るのだと思う。

この柔らかい素材をグラインダーで削るのが難しく、やすりに押し当てるときに手元が狂って簡単にえぐれてしまった。

幸い、浅かったのでやり直しにはならなかった。よかった。



そして、やっとミシン!

電動の足踏みミシンは、利き足の靴を脱いで踏み込んで針を進める。

膝の近くにあるレバーで、押さえを上げることもする。

足を使う動作が多いことに驚いた。

もうひとつ驚いたのが、返し縫いの機能がないこと。

これまで使ったことのあるミシンといえば返し縫いの機能を搭載したものだったから、その特訓から始まった。

右側にあるスイッチを入れる。

右膝でレバーを押あげ、革を固定する。

右手でレバーを回して針を落とす。

右足でゆっくり2回踏む。

カタタン…、カタタン…

ここまでは、大丈夫。

次から返し縫だが、次の動作がわからなくなる。

実際は、針を上げ、手動で針を進めた二回分戻すだけなのだが…。

先生にお手本も何度も見せてもらいながら、端切れで特訓する。

針を落とそうと、レバーに手を掛ける。

んんん?レバーが回らない。

おかしいと思いながら、ぐっと力を入れて回すと、「バキッ」と太い音と共に、針が折れた。

先生〜!とすぐさま呼ぶ。

(このルポでは、室根さんのことを「先生」と書いているが、呼んだのはこのときが初めてだった。人は、助けを求めるときに「先生」とか「様」とか付けるのだなと実感)

手こずりながら、なんとか返し縫を習得してこの日は終了。

明日から、ミシンで革のパーツを縫い合わせていく。

一番の楽しみであったミシン作業なのに、最も心配なことになってしまった。

後片付けをしていると、二人の女性が来店した。

248 nishiyaさんのバッグを手に取っていた。

248 nishiyaさんは、仙台で草木染めの糸や布、アンティークの布などを使用したバッグを製作しているユニット。

ARTS&CRAFT静岡にも何度か出展して下さっている。

248 nishiyaさんの作品は、通販やオーダーを受けておらず、その時のバックと人との出会いを大切にしている活動だと思う。

この日に来たお客さんは静岡から来た方々で、ARTS&CRAFT静岡で248 nishiyaさんのバックと出会い、ここまで来たと香子さんから聞いた。

驚いたのと同時に、自分の活動が巡り巡って、このアトリエショップまで足を運ばせたと思うと、とても嬉しかった。

そして、また一人、女性が来店した。

なんでも、譲ってもらった革の端切れを使ったワークショップのようなものを行ったらしく、次回の分をもらいに来たとのこと。

端切れを提供するかわりに、端切れを使ってどんなものを作ったのかを教えてもらうところが、Co. & Kokoroneさんらしい。

女性は、ワークショップの様子を楽しそうに先生と話していた。

「今日はたくさんお客さんが来たね」と話す二人は嬉しそうだった。

私も嬉しかった。



【補足】

※1...フィッティングシューズは、足計測をした際に左右の足で著しく違いがある場合は両足分つくります。左右の誤差が数ミリの場合やとくに足に症状がない場合などは片足のみを製作し、フィッティングチェック後、同じ仕様と調整の仕方でもう片方分の靴型や型紙を修正し、本製作に入ります。



 

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# 4日目 シャンクと型紙@わたしの靴をつくる

8月10日(4日目)


曇り空と湿気を感じる、強い生暖かい風。

今日の夕方には台風は関東に接近するようだった。

恐らく数日前までは、クーラーをかけていたであろうCo. & Kokoroneさんのアトリエショップも、昨日は窓を少し開けるだけで風が入り、気持ち良い気温であった。

今日は、雨が降ったり止んだりしているのでクーラーをいれていた。

午前中は、靴づくりの本を見ながら革について説明を受けるところからスタートした。

昨日私が作った中底は、牛の肩の革を使っている。伸びにくく、皺もない。

逆に、お腹の革は伸びやすいから袋状の鞄などに使われることが多いという。

真っ直ぐにとれる背中の革はベルトに使われるそうだ。

動物の“皮”は、なめし加工を経て製品にすると“革”に漢字が変わる。

室根先生は、皮をなめす工場へ見学に行ったことがあるそうだ。

そこでは、耐久性を高めたり、革を染色したり…。

様々な工程を経て“皮”を“革”にしている。

この話を聞いて思い出したのは、お茶のことだ。

お茶の葉は、摘んで、蒸した後に乾燥させる工程がある。

これは、お茶の保存性を高めるためだ。お茶が乾物であることが当たり前と思っていたが、それはより長い期間保存できるように考えられた知恵が今でも続いている結果なのだと知ったときは感心した。

だから、なめしの工程は、皮を製品にしようとしたのではなくて、保存するために始められたのかも…と思った。

あくまでも、推測だが。



昨日作った中底に『シャンク』という鉄性の細い板を取り付ける。

シャンクは、体重が掛かっても靴底に歪みを生じさせないようにするもので、ソール全面が地面と接するウェッジソールのような靴にはシャンクは入っていないことが多いが、歩く際にねじれを生じることもあるので入れておいた方がいいと先生は言う。

まず、靴型でシャンクをつける位置を決める。シャンクのゆるやかなカーブが合うように、靴底にシャンクを当てながらシャンクをつける位置を決める。



シャンクを中底の上に置いて縁をボールペンでなぞる。

シャンクを中底にはめ込むため、なぞったところの内側を包丁で削っていく。

シャンクをはめ込むには、深さ1mmほどあれば十分らしいが、刃を深く入れて中底を貫通させないようにと注意を受ける。

mm…この単位におののいて少しずつ、少しずつ削っていく。

いつも、靴作りを教えながらオーダーを受けた靴を作っている先生が今日は小さな丸い革で何かを作っている。

聞けば、知人から犬の迷子札のオーダーを受けたそう。

MAMEHACHI』と犬の名前が刻印されている。

その他、連絡先も刻印されるそう。

カラフルな丸い革が何枚も用意されていてかわいらしかった。

深さ1mmについてこれまで考える機会はなかったと思う。

私が1mmからイメージするものは……八つ橋の皮だ。

八橋の皮の厚さが何ミリかは知らないが、ぽんっと頭の中に現れた。

たしか、あんこが包まれていない、八つ橋の皮だけのものがお土産として販売されているが、それが長方形をしていた気がする。

私の中ではシャンクをはめるというより、八つ橋の皮1枚をぴったりとはめるようなケースを作ると考えた方が1mmという単位がよりピンとくる気がした。

しかし、イメージしても、やっぱり貫通させるのがこわかったから、刃を深くいれることは出来ない。

それは、昨日グラインダーで時間掛けて作った中底をまた一から作りたくないという気持ちが強かったからだ。

「もう少し刃を入れても大丈夫だけど」と先生から言われたが、やっぱりそうは出来なくて、恐る恐るやっているものだから、一足分も出来上がらずに午前の部が終わってしまった。

ここでようやく、まずいと思った。

お昼休憩をいつもより短縮して、再開。

先生にお手本を見せてもらい、今までとは打って変わって思い切り包丁の刃を入れる。

そうして2足分を先ほどの半分以下の時間で終わらせた。

早くそうすればよかったのに…。

でも、仕方がない。



シャンクを固定する。

『ヌキ』で中底に穴を空け、『菊割』を使って『シャンク留め』でシャンクを固定させる。

菊割はその名のとおり、先が菊の花のような形をしている。美しい日本の道具という佇まい。

菊割をシャンク留めに当てハンマーで叩くと、シャンク留めは花が開いたように広がって固定される。

もう片方の中底に一つ目のシャンク留めを付けた…。

なんか変だ。先生に見てもらう。

シャンクが裏表反対だった!

一つ目を菊割でしっかり留めてしまっている…。

一瞬にして、午前中から時間を掛けて削ったことなどを思い出した。

もしや、やり直し…?

いや、きっとシャンク留めを間違えて留めてしまう私のような人のための道具があるはずだ、と願うように先生の次の行動を見守る。

先生は、釘抜きのような道具で力を入れて引っこ抜いてくれた。

ほっとした。よかった。

無事に両足のシャンクを留められた。

靴型に釘で中底を固定させる。

少し踵がはみ出たので少しグラインダーで削って、完成。



次に、革を切るときに使う型紙を作る。

紙でパターンを引いたりすると、いよいよこれが型紙か〜と毎度思っていたけれど、今回のものが正真正銘の型紙だ。

これまで何枚も型紙の一歩手前のようなものを作る作業をしてきた。

ここまでしないと健康な靴は作れないのだな、と、まだ靴づくり教室4日目にして思う。

私が靴をオーダーしたときはデザインを指定したから、同じようにここまでしてやってくれたのだと思うと、家に帰ったら靴を磨かなくては…もっと可愛がって、たくさん履こうと思う。

それは、作っている靴にだって同じくらい、いや、それ以上に思えるはずだ。

私の靴は、ベロを合わせて4枚の革のパーツを合わせて出来る。



昨日2度目の正直で作った展開図を使って革のパーツ別でクラフト紙にトレース(写す)する。

これをクラフト紙に4枚のパーツ分をルレットで線を引き、鉛筆でなぞってトレースする。ゴムを付ける箇所にも線を引き、革をつりこむところを2センチ、革を重ね合わせるところはのりしろのように1センチ余分にとっておく。

クラフト紙を厚紙に張り付け、パーツごとに切り取って型紙の出来上がり。

過ぎてしまった時間を取り戻したくてテキパキ作業した。

今日の午後の部の生徒さんは、私が作業を終える頃に冷えとり靴を完成させていた。

青色の革がとてもきれいだった。

これから履いたところを先生が写真に撮るようだった。

羨ましかった。

誰しもが展開とか、グラインダーとか、シャンク留めを経て靴が履けるようになるのだよな、と当たり前のことを考えつつ、台風がすぐそこまで来ている小雨が降るなか、足早に洗足駅に向かった。

| comments(0) | - | 22:47 | category: 「わたしの靴をつくる」ルポ |
# 3日目 展開と中底@わたしの靴をつくる

8月9日(3日目)
 

台風が近づいていた。

それとは関係なしに、お盆休みで道が混雑していて、午前10時から始まる教室に遅れていた。

バスが渋谷に到着して、急いで山手線に乗って目黒駅へ…のはずが一駅乗り過ごして五反田駅に。

東京の電車にはテレビは付いているし、広告も静岡とは違うからつい見てしまって、乗り過ごしてしまうことが多い。

そんなこんなで、30分ほど遅れてしまった。

おニューの真っ白いリネンで出来たエプロンを着けて、靴づくり教室がはじまった。

室根先生が、私の靴に付ける黒いゴムを仕入れてくれていた。

パターンゲージにゴムを合わせると少し幅が広かったので、もう少しサイズの小さいものを仕入れてもらう。

ゴムを仕入れたのは初めてだそうだ。

私が知っているゴムが使われている靴といえば、サイドゴアブーツ。

Co. & Kokoroneさんの靴のラインナップにそういった靴がないのは、履き続ければゴムは伸びてしまい、その度に修理が必要になるからだ。

長く履き続けることで、革が味わいを増し、履く人の足にも馴染んでくる靴を作っているCo. & Kokoroneさんにとって劣化の速いゴムは、まだ検討中の素材のようだ。

靴を作って終わりじゃない。

それが、足の健康を願う二人の活動だ。

「今日は展開をします」と先生が言った。

そのとき、思い浮かんだのは、小学生の算数で習ったサイコロを解体して、広げるとこんな形になっています、というアレだ。

円柱と円錐は展開すると、思ってもいない形であった。

靴はどうだろうか?



まず、二つ折りにしたクラフト紙の上に、前回描いたパターンゲージを『千枚通し』という、たこやきをひっくり返すような道具で固定する。

ポイントとなる線を引いたら、デザイン画の靴の外側の輪郭をボールペンでなぞり、内側の線を『ルレット』で引いていく。

ルレットは、ひまわりのような形の刃がついている。

紙や革の上でころころと押し付けながら刃を動かすと、点々と穴を空けて印をつけていく。

二枚折をしたクラフト紙の下まで印をつけるには、女性であれば意識して力を入れて押し付けないと印がつかない。

先生の指示通りにボールペンとルレットで線を引いていくが、これがなかなかややこしい。

なぞりながらどこへ行くのかわからなくなるほど、デザイン画には線が交わりながら引かれている。

それでいてルレットの刃が紙を貫通させているか確認しながら作業をしていたから、言われたことを忘れて何度も聞き直して作業を進めた。

二つ折りにしていたクラフト紙を広げて、パターンゲージを裏側にしてもう片面にも同じように線を引いていく。

ここまでくると、靴の展開はこういう形になるのか〜と、なんとなくわかった気になる。

片面を引き終えたら、ルレットの線をボールペンで引いていく。

すると…左側に線が二本ずつある箇所が現れた。

こんなことは、ありえない。

なぜ?と考えてもわからない。

引いた線は消せないから最初からやり直すことに…。

ここまで一時間以上は掛かっていると思われる。

悔やんでも仕方がないし、三度目のやり直しがないようにやるしかない。

一度やった作業だが、一人で思い出しながらやれることではないので、再び一から先生に教えてもらう。

もう、二本の線が出来ないようにと慎重に線を引いていくから「一回目より、線がきれいに引けている」とお褒めの言葉を頂いた。

三度目ならぬ、二度目の正直といったかんじで、全て引き終わったルレットの線を一本ずつ確認しながらボールペンで引いていくと…またも二本並ぶルレットの線が現れた。

今度は、その線をボールペンでなぞる前に室根先生に相談。

正解の方の線を見極めてなぞり、ようやく出来上がった。

出来上がった靴の展開図は、思っていたより複雑でもなく、想像範囲内であった。

そして、まじまじ見てみると特撮ヒーローみたいだなと思った。

この特撮ヒーローみたいなものを『展開図』という。



お昼休憩をする。

アトリエショップの電話が鳴る。

「はい、コーアンドココロネです」と、香子さんが出る。

どうやら、アトリエショップに訪れる際の予約の電話のようだった。

アトリエショップは、金曜日から日曜日は通常営業、火曜日から木曜日は予約制となっている。

午後からは、先ほど描いた展開が靴型に合うかの確認作業。

先生の確認もその都度入る。

これで、合わなかったらどうするのだろうとひやひやしながら(もちろんやり直しだが)見守る。

少し修正はあったもののようやく展開作業が完成した。



紙との格闘が続いたので、少し違う作業をすることを提案してもらい、中底を作る。

以前作った『ソールゲージ』(靴底の型紙)をつかって両足分つくる。

剪定鋏でジョキジョキと切る。

この切る感触がなんとも言えない…包丁で革を切ったときと同じだけど、柔らかいような堅いような…。

イメージとして堅い刺身を切っているような感触だな、と、いつも思う。

なるべくボールペンの線のぎりぎりまでハサミで切ったら、グラインダーで削る作業に入る。

午前の部の生徒さんが「グラインダーがこわい」としきりに言っていた。

確かに、私も初めて使ったときにあの大げさな音や、回るやすりにうっかり手を当ててしまうと危ないというのを目の当たりにして少しこわかった。

でも、どの生徒さんの製作段階を見ていても、グラインダーは使われていた。

ここで、本当に苦手になってしまわないように、グラインダーと仲良くならねばと思った。



グラインダーのスイッチを入れる。

「グワンッ」という音とともにやすりが回り始める。

勢いに任せてやすりに革を押し当てる。

失敗してもいいのだ、とか、大丈夫、とか言い聞かせながらボールペンの線が消える一歩手前まで削っていく。

先生に途中経過も見せずに削っていったのは、グラインダーを一人で使いこなせるようになりたかったこともあるし、午前中にやり直しをした自分に対しての汚名返上でもあるというか、それらの記憶を上書きしたい気持ちがあったからだ。

目の荒いやすりで削ったあとは、目の細かいやすりで、形を整える。

集中して削っていたから、他の生徒さんが帰ったことも知らなかった。

出来たところで室根先生に確認してもらう。

靴型に合わせると少しはみ出るところがあったので、軽く削り、きれいに整えて完成。

ふう。



今日は、作業をやり直すことになってしまって、初めてのピンチだった。

そして、グラインダーとは仲よくなった気がするのでプラス・マイナス、ゼロの1日だった。

 

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